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2010.02.20

”ヤマ”を征服する

登山家ジョージ・マロリーは、
なぜエベレストに登るのですか?と質問されて
「そこに山があるからだ」と答えたという。
その逸話はあまりにも有名であるが、
その言葉には我々の素直な気持ちを当てはめることができる。
つまり、自分の嗜好を正当化することができるのだ。

去年の春頃、僕は仕事の中であまりにもすばらしい建造物を知った。
それが大阪は港区から大正区にかけて海をまたぐ「なみはや大橋」
正式には尻無川新橋有料道路という。
車は100円を払って通る。
全長1740メートル、最高部で水面から45メートルを誇る。


大きな地図で見る

実は、大正区は島のようになっていて大小様々な橋がかかっている。
なみはや大橋もその一つである。
その姿は後ほどご覧いただくが、
美術品として造られたのではないかと思うほどの美しさと
征服してみたくなる雄大さ。

征服と聞いて、お?と思われた方もいらっしゃるのではないだろうか。
そう、この橋は人も渡れる橋なのである。
なみはや大橋を征服すべく一歩を踏み出した。

なぜ征服するのか?

そこに”ヤマ”があるからだ。


―さあ登ろう

今回は港区からのルートを選択。
地下鉄大阪港駅から一般道を10ほど分歩くと登山口に到着する。
さてこの日は登ることを考えていつもは肩掛けにしている鞄を
リュック仕様に変更してみたのだが、どうもしっくりこない。

PICT6896_20100221232543.jpg
どう見ても山登りではない

PICT6898.jpg
登山口にて

あと、この日は軽量化を考えて三脚を持ってこなかったのだが
それが大きく災いし自分撮りに苦労した。
橋の手すりなどが映り込んでいるがご容赦いただきたい。

11時40分
ともかく登り始める。
勾配もそれほど急ではなく、初心者にも優しいヤマなのだ。
ただ海からの風は相当きつい。
まるで去年春に会社を辞めてフリーになった自分に
これからを厳しさを暗示しているかのようだ。
曇り空のように心も暗澹としてくる。

でも、それを忘れさせてくれるものがここにはある。
すばらしい眺望だ。

PICT6914.jpg
天保山ジャンクションのはず(クリックで大きくなります)

PICT6918.jpg
駄洒落が秀逸な1枚

PICT6916.jpg
これは風で寒い顔

あっという間にすばらしい景色が眼下に広がってくる。
いつもは下から見上げていたジャンクションも同じ目線に。
2枚目の駄洒落だが、こんなものが書かれているとは現地ではまったく気づかなかった。
怖くてシャッターを押すことしか出来ていなかった。
写真を撮るために手を外に向かって差し伸べるだけでもとても怖くかった。
山登りとしては恥ずかしいが怖いものは怖い。
怖いと言えば横は車道。
港だけあって大きなトレーラーが結構なスピードで走っている。
もしハンドル操作を誤ってこっちにやってきたらどうしようと思うが
考えても仕方がない。でも怖い。でも登るのだ。

PICT6907.jpg
こっち側の車線を走ってるときはシャッター押せない

―頂上へ

このヤマを征服した暁にやりたかったことがある。
それはかの東海林さだお先生が表現されていた
山登りでのおにぎりのおいしさ。
木の切り株に斜めになりながら腰掛け
昼のサイレンを聞きながらがぶりをやるのは最高だと。
なので、昼前に登り始めたと言うわけなのだ。

一番高い水上45メートルの地点はもうすぐそこである。

PICT6925.jpg
たぶんあのへん

いよいよ頂上なのだが、どこが頂上かよくわからない。
でもそれらしきものがこの機械みたいなやつ。
見た目にも一番ふくらんでいるのでここに違いない。

PICT6926.jpg
これを三角点としたい

いよいよ頂上だ!
頂上だ。
頂上・・・

登山家なら頂上でとるような写真を撮るのを失念。

記念写真は忘れたが、景色は抜群。
携帯のパノラマ写真機能で撮影した写真がこちら。

100212_1209.jpg
クリックすれば大きくなりますがぶれてます


頂上に到達したところで、この橋の全貌をご覧頂こう。
「天空に架かる橋」とも称されるこの橋の大きな特徴は
弧を描くようなフォルムだ。
まさに弓を引いたように湾曲し、
美しさ、また荒々しさも感じさせてくれる。
これを征服したならばなんでも出来るような気がした。
未来も明るくなるように思えた。

ほんの一瞬だけ。

PICT6957.jpg
「弧」を描く龍

PICT6893.jpg
登山口より”ヤマの裏側”を仰ぎ観る

PICT6948.jpg
大正区側下山ルートより

PICT6952.jpg
しゅーーーーぎゆうううううう(奥から手前のイメージ)

PICT6953.jpg
このうねり具合

こうなると下から見上げたくなるのだが、
なにぶん真下は海。船にでも乗らなければ見ることはできない。
と書いたところで船に乗って見られる可能性がここにはあった。
渡船である。
先述したように大正区は水に囲まれた土地ゆえ、
橋が少ないころは渡るための船が多く運行されてきた。
もちろん今も結構な数の大阪市営の渡船が残っており
近くを運行する渡船に乗ればその遠景を見ることができるはずなのだが
それは次の楽しみにとっておこうと思う。
(単に時間がなかっただけだが)

さて、頂上を定めたところでおにぎりタイム。

PICT6928.jpg
微妙に「じゃない方」を選択

コンビニ調達のもので申し訳ない。
あとランチパックが混ざっているが、これも申し訳ない。

おにぎりをむいて食べ始めたころサイレンが鳴り響いた。
工場のサイレンだ。
これほんとの話。
サイレンは昼の雰囲気をものすごくもり立ててくれる。
冷たいおにぎりが熱々に感じた。

PICT6929.jpg
本当にサイレンがなりました

心ではおにぎりが熱くても実際はかなり寒い。
景色をおかずにするために顔を上げようとするがそれどころではない寒さ。
切り株に見立てた手すりの土台からもじんじんと冷たさがでん部に伝わってくる。
食べはじめには確かにサイレンが鳴って一瞬高揚したが、
とりあえず達成したんだからええやないかという自分があっという間に支配してしまった。
山を上るときには十分な装備が必要で、特に防寒の装備は怠ってはならない。
時々なめる飴は血糖値を上げ、体温を上げる効果もあるそうだ。
今の私には飴はもちろん、暖かいお茶もカイロもない。
ここが本当の冬山でなくてよかった。

ということもあって、そそくさと片付けて下山というか大正区側へ。
橋を渡ったところにはIKEAがでんと構える。
関西での1号店で大阪だけでなく奈良などからの客も多いとか。

PICT6946.jpg
関西ではIKEAに行けやというギャグが流行りました

PICT6961.jpg
個人的に気に入ってます

下山した後、先程見ていただいたような写真を撮ったのだが、
やはり全景をなんとか撮れないものかと工場や団地があるほうに歩いていた。
写真が撮れたらそのままバスにでも乗って駅まで行こうと思っていたのだ。

ところが・・・
それを見つけてしまった

何を見つけたかは
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